DV被害Q&A
Q1 DVって何?
Q2 DV男性の特徴を教えて
Q3 DVって治るものなの?
Q4 DV夫から身を守る方法は?
Q5 DVの保護命令って?
Q6 DV保護命令は、自分でできるの?
Q7 暴力をふるってないのにDV保護命令が出てしまった。
こんな理不尽な話あるの?
Q8 暴力をふるってないのにDV保護命令が出てしまった。
異議を申し立てるには、どうすればいいの?
Q9 [身体的DV]殴るには殴る理由があるという弁解について
Q10 [経済的DV]妻は浪費家だという弁解について
Q11 男性にも、DV被害者は多いの?
Q12 DV夫から逃げるのではなく、追い出すことはできないの?










        
Q1.DVって何
A1.親密な異性からの暴力です。  
   
 親密な、あるいは親密だった男女の一方が、暴力的に、他方を支
 配しようという場合に起こる現象を、DVと言います。

 親密な、あるいは親密だった異性からの暴力を全てさすので、夫
 婦間の暴力に限定されないし、同居している男女間の暴力にも限
 定されません。もちろん、女性からの暴力も含みます。

 また、支配欲に基づく以上、暴力であれば、全てDVになりますか
 ら、肉体的な暴力のほか、言葉の暴力、経済的な暴力、性的暴力
 等全ての暴力を含みます。

 女性運動家の中には、女性を不快にさせる行為全てがDVだと主
 張しておられる方もいますが、実務上は、肉体的な暴力や生命身
 体に対する脅迫等に限定しています。













 
        
Q2.DV男性の特徴を教えて。
A2.高学歴で社会的に成功している人が多いです。  
  
 DV男性には、2種類あります。

 1つは、古典的なDV男性で、性格が粗暴な人です。

 もう1つは、高い学歴を持ち、社会的にも、それなりに成功を収めて
 いる人たちです。

 このうち、いわゆるDVとして問題になる男性は、後者の人が多いで
 す。

 その特徴は、社会的な能力に富む反面、非常に独善的だというこ
 とです。家庭生活に多様な価値観があることを認めず、無意識に
 自分の単一の価値観を押し付け、自分の単一の価値観にそった
 家庭を築こうとします。社会的に成功しているだけに、自分の考え
 方に自信があり、能力のある自分が、能力のない周囲を指導す
 るという意識で行動します。その結果、自分と価値観の合わない
 妻は、能力がないので、能力のある自分が指導する必要がある、
 と思いこみ、教育のために暴力をふるうのです。


 その特徴としては、次の点を指摘できます。


 @悪いことをしたという自覚が全くない。

 悪いのは配偶者で、自分は「教育した」と思い込んでいます。「正義
 の制裁」だと信じ込み、周囲の意見に耳を貸しません。

 A暴力をふるったという自覚がない。

 自分が暴力をふるったという認識を全く欠いています。「ちょっと手
 が当たっただけだ。」「大げさだ。」というのは、DV加害者の常套文
 句です。

 B自分より強い者には、非常に従順であり、対人関係も良い。

 DV加害者と言うと、一見誰に対しても、粗暴なように見えますが、
 実際はそうではありません。

 DV加害者は、妻子を「自分の所有物」と無意識に思い込んでいま
 すから、「所有物の反抗」には「制裁」を加えますが、所有物だと思
 わない人には、非常に礼儀正しく、特に目上の人には、驚くほど従
 順です。DV被害を訴えても、「まさか、あの人が」と言われるのは、
 このためです。

 DV加害者は、「粗暴」だから暴力をふるうのではなく、「自分の所有
 物だ」と思うから暴力をふるうのです。

 CDVは、暴力→謝罪を繰り返すたびにエスカレートする。

 DV加害者は、暴力行為をした後に謝罪します。しかし、それは、
 「自己の所有物」を失わないための手段であって、本当に悪いこと
 をしたと思って謝罪したわけではありません。

 そして、謝罪に応じて、配偶者が一度許すと、その深層心理に「こ
 こまではOK」という記憶が刻み込まれ、次に暴力をふるうときは、
 以前よりもレベルアップします。

 配偶者が許す範囲の暴力では、「配偶者への教育」にならないか
 らです。

 D身を隠すと、しつこく子供との面接交渉を請求する。

 配偶者が思い余って子供を連れて身を隠し弁護士に依頼すると、
 必ず、執拗に子供との面接を要求します。今まで、子供など興味を
 示さなかったのに?と不思議に思いますが、実は、子供との面接
 交渉は、子供を利用して「所有物」たる配偶者を取り戻そうとしてい
 るだけなのです。 










































































 
        
Q3.DVって治るものなの?
A3.性犯罪者と同じでその矯正は困難です。 
   
 DV加害者でも、自らの粗暴性・独善性を認識している方もおられま
 す。しかし、DV加害者は、その深層心理に、子供や配偶者を所有・
 支配しようという強い衝動があり、一方で、キレると自制がきかなく
 なるという性格があります。こういう潜在意識、性格から、なかば必
 然的にDVを引き起こすので、反省すれば治る、というものではあり
 ません。

 最近は、治療方法も研究されているようですが、基本的に、矯正は
 困難と考えておいた方がよさそうです。














 
        
Q4.DV夫から身を守る方法は?
A4.子供を連れて家を出た後、裁判所から保護命令をもらいます。
   
 @シェルター等に避難する。

 必ず子供を連れて、配偶者が知らない場所に避難しましょう。

 その間、絶えず、弁護士や相談室と連絡を取ることも大切です。

 必ず子供を連れて非難することが大切です。裁判所の実務からす
 ると、子供を残して避難した場合は、まず、子供の親権・監護権は
 取れないと思われるからです。それに、いくら急いでいるとはいえ、
 子供を置いて避難するとなると、周囲も「あんたが身勝手なんじゃ
 ないの?」という目で見るでしょう。

 急いで避難したいときは、地方公共団体や民間保護施設が運営す
 るシェルターが避難場所ということになります。

 所在場所は、性質上、非公開とされており、普通は無料です。民間
 施設の中には有料のところもあるようです。しかし、この利用期間
 は限られています(2週間〜1ヶ月)から、期間を過ぎたら、別の場
 所に避難をする必要があります。

 頼れる場所がないときは、昔の母子寮である母子生活支援センタ
 ーに避難することになります。

 なお、健康保険・学校の転校などは、DV被害者のために特別の配
 慮がされています。


 A最寄りの警察生活安全課・配偶者暴力支援センターに相談す
 る。

 保護命令を速やかにもらうために、暴力行為があったら、最寄りの
 警察生活安全課に相談するか、各県にある配偶者暴力支援セン
 ターで相談したという実績を残しておく必要があります。できれば、
 警察の方がいいでしょう。

 保護命令では、この相談実績の有無と、その内容が、非常に重要
 な意味を持ってきます。


 B弁護士に依頼し、保護命令をもらう。

 無事に加害者から子供を連れて避難したら、弁護士に頼んで、裁
 判所から保護命令を出してもらいましょう。(弁護士費用が用意で
 きない人は、司法支援センターが弁護士費用を立て替えてくれま
 す。)

 これは加害者が被害者に近づいたり、連絡を取ったりしてはならな
 いという命令で、これに違反すれば刑事制裁があります。保護命
 令が出ると、裁判所から各関係機関に連絡がいきます。警察は、
 地元の生活安全課が対応してくれます。

 また、保護命令が出ても、油断してはなりません。刑事罰の制裁が
 あると言っても、たいていは罰金で、保護命令が万能だというわけ
 ではありません。

 それと同時に、離婚手続き、生活費の請求(婚姻費用)を弁護士に
 頼んで進めることが必要です。


 C生活が成り立たない人は、生活保護申請をする。

 加害者から隠れて避難したり、幼い子供を抱えていると仕事をする
 には限度があります。
 
 こういうときは、どんどん生活保護申請しましょう。

 生活保護の申請については、当事務所の別Webサイトをご覧くださ
 い。














 
        
Q5.DVの保護命令って?
A5.DVの加害者が被害者等に近づくな、場合によっては家から出
   ていけという裁判所の命令です。
   
 男性のDV加害者は、所有物である配偶者や子供を取り戻そうと、
 DV被害者を執拗に追います。いつまでも身を隠しているわけには
 いかないし、警察も、家の中の問題だから、と及び腰です。

 しかし、裁判所に頼んでDV保護命令をもらうと、6ヶ月間は、被害
 者や関係者のそばに接近することができなくなります。また、6カ
 月経過後も、状況によっては、更新もできます。ただ、裁判所によ
 っては、更新に厳しい裁判所もあります。特に某裁判所は、厳しい
 ですね。

 また、あわてて逃げ出した場合等、再度、自宅に帰って荷物を引き
 揚げる必要性がある時は、一定期間、DV加害者を自宅から退去
 させることもできます。














 
        
Q6.DV保護命令は、自分でできるの?
A6.自分でできますが、できれば、弁護士に相談しましょう。
   
 シェルターなどには、DV保護命令の申請書式が置いてあり、自分
 でも申請できます。裁判所のホームページからもダウンロードでき
 ます。

 ただ、DV保護命令は、全てのDVを対象とするのではなく、その一
 部を対象とするものであり、適用範囲が限られております。特に某
 裁判所保全部は、調査官による調査命令を経ないDV保護命令の
 立法的妥当性にかなりの疑問を抱いているようで、適用対象・更
 新、ともにかなり絞り込むという運用傾向が、最近顕著です。

 やはり、DVに精通した弁護士に依頼する方が安全です。

 また、これらの保護命令は、この命令期間内に問題がなければ、
 原則として更新されません。しかし、現実に、6ヶ月間の接近禁止
 命令期間中に問題が解決できるはずがありません。

 全国に多数の相談員がいて、DV被害者のために色々尽力してく
 れていますが、しかし、これらの相談担当者の方には、保護命令
 とその後の6カ月の期間のみしか念頭にない担当者もいます。

 離婚という全体の流れの中でDVを処理するためには、できるだけ
 早期に弁護士に頼んだ方がいいと思います。

 問題となるのは弁護士費用ですが、費用を工面できない時は、司
 法支援センター法テラスを使えば、弁護士費用を立て替えてくれ
 ます。立替金の返済が困難な方は、免除してくれますので、自己
 負担がゼロで済む場合もあります。 














 
        
Q7.暴力をふるってないのにDV保護命令が出てしまった。こんな理不
   尽な話あるの?
A7.DV保護命令では、「冤罪」は珍しくありません。
   
 DV保護命令制度は、きわめて短期間の調査とわずかな資料で、
 DV保護命令を出すことになっています。そのため、ある程度、「冤
 罪」覚悟で保護命令を出しているというのが現状です。

 間違えて出しても、「加害者」が子供と面会できなくなる以外は格別
 の不利益はなく、反面、もし間違えて出さなかった場合には、犯罪
 行為さえ誘発しかねません。
 
 そこで、暴力行為に厳格な証明を要求せず、とりあえずはDV保護
 命令を出す、という扱いをしています。













 
        
Q8.暴力をふるっていないのにDV保護命令が出てしまった。異議を申
   し立てるには、どうすればいいの?
A8.高裁に異議申し立てをします。  
   
 保護命令に異議のある場合は、管轄の高裁に抗告します。多くの
 場合は、却下されますが、ここで覆る例も少数ですが、あります。

 というのは、地裁と高裁では、心証の取り方が異なるからです。

 地裁段階では、裁判官は、書面以外に、現実に当事者と面談し、
 そこから心証を得ます。ところが、高裁では、地裁から上がってき
 た書面だけで、心証を得ます。

 その結果、地裁と高裁で、結論が異なるという事態が生ずるので
 す。

 もちろん、高裁も、地裁の判断を覆す時は、当事者を裁判所に呼
 び出して審問しますが、それは、書証から得た心証の確認作業的
 要素が多いようです。


 自分が直面したケースでは、申請書の記述に不自然な点がいくつ
 かある、ことから、高裁の裁判官は、全体を虚偽と判断したようで
 す。
 この方は、自分で書類を作成していたケースで、具体的に書こうと
 して無理をしすぎたようです。

 やはり、DV保護命令の書類は、DVに強い弁護士(弁護士会全体
 では非常に少数です)に作成してもらうのが、一番です。















        
Q9.[身体的DV]
   確かに妻を殴りましたが、それは妻が私の両親を侮辱したからで
   す。殴るには殴るだけの理由があるのに、一方的に悪者にされる
   のは、納得できません。
A9.その弁解は通用しません。
   
 DV加害者の中には、殴るには殴るだけの理由がある、と堂々と主
 張される方もおられますが、裁判所は、そのような主張は相手にし
 ません。

 DV加害者の特徴は、性格が非常に独善的で、かつ、自らの独善
 性に自覚がない、ということです。

 この独善性に所有欲・支配欲が加わると、自分が「家庭はこうある
 べきだ」という理想像に、無意識のうちに、無理やり家族を押し込
 めようとします。
 
 しかし、妻も子供も、物やペットではありません。特に妻は妻で、独
 自の考えを持っているから、この「押し込め」に抵抗する。その結
 果、軋轢となって、暴力となるわけです。

 加害者は、自分の独善性を、まるで認識していませんから、「ある
 べき家族に妻を『教育』しようとしただけだ」と考えます。その結果、
 「殴るには殴るだけの理由がある」という理屈になるわけです。

 DV加害者には、独善性の自覚を促す必要がありますが、自覚は、
 多くの場合、困難で、逆に「裁判所というのは人の人情を理解しな
 い」と嘆くことが多いですね。














 
        
Q10.[経済的DV]
    私は年収1000万円ですが、妻には、毎月8万円しか渡してい
    ません。妻は、経済的DVだと言って、子供を連れて実家に帰り
    ました。しかし、米代やその他の食費、通信費、水道光熱費など
    を合計すると、8万円あれば充分なはずです。経済的DVと言わ
    れるのは心外です。8万円で足りないという妻が浪費家なので
    す。
A10.その弁解は通用しません。  
   
 実は、性格の不一致による離婚では、このパターンが一番多いの
 ですが、これは、経済的DVにもなります。まず、1ヶ月の生活費を、
 水道代いくら、食費いくら、と加算して考え、それに必要な金額のみ
 を妻に渡して、あとは自分で預金するか、アパートでも買うというパ
 ターンです。

 預金ができない妻を非難して、強制的に家計の管理を取り上げる
 ケースもあります。このタイプでは、妻の浪費癖を嘆くのが一般的
 で、自分で被害を与えているという認識はありません。

 このタイプも同じように、

 @1ヶ月の生活費を、水道代いくら、食費いくら、と加算して考えま
  す。
 A次に、自分が妻に支給している金員総額と「あるべき生活費総
  額」を対比します。
 Bその差額は預金にならなければならないはずですが、その預金
  はない。
 Cしたがって、妻は浪費家である。

 と真面目に考え、こんな浪費家の妻に、管理をゆだねられないとし
 て、自分で管理をし、最小限のお金しか渡さないようにします。

 この2つのケースでは、いずれも、ほぼ100%家庭が崩壊します。
 「生活費の総額を、個々の経費の合計ととらえる」考え方をするの
 は、離婚要求を突きつけられる男性に、非常に多い特徴です。

 こういう人は、「妻は浪費家である」と決めつけ、自分の考え方の独
 善性を認識していません。












 
        
Q11.男性にも、DV被害者は多いの?
A11.女性ほどではありませんが、かなりいます。  
   
 自分の事務所での相談件数は、女性からのDVは、全体のDV相談
 件数の3〜4割という感じです。

 ただ、男性のDVと女性のDVでは、根っこが違うように思います。

 男性のDVは、基本的に支配欲に根ざしています。無意識のうちに
 妻や子供を自分の所有物と考え、そこから、所有物が意のままに
 動かないことから暴力を加えるというパターンです。

 男性DVは、社会的地位が高い、高学歴・高収入者が多い、という
 のは、そのせいである。

 これに対し、女性の暴力の場合は、所有欲・権力欲とは関係があ
 りません。むしろ、感情のゆがんだ発現というケースが多く、境界
 性人格障害者ではないかと疑われる女性が、かなりいます。














 
        
Q12.DV夫から逃げるのではなく、追い出すことはできないの?
A12.できません。
 
 「DVの保護命令には、接見禁止命令の他にDV加害者に対する2ヶ
 月間の退去命令があるから、加害者を追い出したい。」という意見
 を拝聴することがあります。

 確かに、被害者がコソコソと家を逃げ出し、加害者が家に残れると
 いうのは道理としておかしいと思います。

 しかし、この退去命令というのは、被害者が安心して自宅で生活で
 きるための制度ではありません。自宅を逃げ出すための準備期間
 を与えるための制度です。

 つまり、1、2ヶ月間、加害者を自宅から退去させるから、この間に、
 家財道具を持って引っ越しなさい、という制度です。

 したがって、2ヶ月経ったら、まず更新は認められません。

 こういうことを考えて、まず加害者に悟られないように密かに逃げ
 なさいと勧めているのです。









Copyright© 森法律事務所 All right.