遺産相続 弁護士 森法律事務所



























遺産分割Q&A
Q1 遺産分割って、どうやって進めればいいの?
Q2 遺産の範囲を決めるうえで注意すべき点は何?
Q3 遺産分割の分割基準は、法定相続分のみ?
Q4 法定相続分は、どういう場合に増額され、どういう場合に減額されるの?
Q5 誰が何を取得するかは、家裁は、何を基準に決めているの?
Q6 家裁に遺産分割調停を申し立てたいけど、注意すべき点は何ですか?




















        
Q1.遺産分割って、どうやって進めればいいの?
A1.遺産分割協議をし、遺産分割協議書を作成します。

 当事者間で話し合うときは、次のパターンを辿ると良いでしょう。

 東京家裁でも、おおむね、下記の順序で行っています。

 @相続人の確定

  まず相続人がだれか、特に隠し子がいないかを調査します。

 A遺言書の有無の調査

  被相続人が遺言を残しているか、その遺言は法律上有効か、を
  調査・確定します。有効な遺言書がある時は、その遺言に従い、
  あとは、遺産分割の問題は発生せず、遺留分減殺の問題が残る
  だけです。

 B相続財産の確定

  相続財産の範囲を確定します。

 C遺産を評価する

  範囲が確定したら、各遺産の評価額を出します。特に問題となる
  のが不動産です。

 D分割基準を決める

  法定相続分が原則ですが、当事者間の協議で自由に分割基準
  を定めることも可能です。

 E遺産を割り振る。

  各人の取得割合が決まったら、その割合に基づいて、具体的に
  取得する遺産を割り振ります。取得遺産が、本来の金額より多く
  なる人は、少ない人に代償金を支払うことで、金額の調整をしま
  す。

 F遺産分割協議書を作成する

  無事話がついたら、当事者間で、遺産分割協議書を作成します。
  ただ、不動産が絡む時は、弁護士等の専門家に依頼した方が賢
  明でしょう。


 注意すべきことは、まず、各人が全体の何割を取れるのかを算出
 し、そのあとで誰が何をもらうかを決めることです。

 通常は、いきなり、誰が何をもらうかを決めることが多いようです
 が、これだと、混乱が生じ、協議がなかなか進行しません。











        
Q2.遺産の範囲を決めるうえで注意すべき点は何?
A2.税法上の遺産と民法上の遺産を分けること、当然に遺産分割の
   対象になる財産と、合意がなければ遺産分割の対象にならない財
   産を分けることです。


 相続に関連する財産や借金は、全て遺産というわけではありませ
 ん。たとえば、葬儀費用や受取人を指定した保険金は、税法上は
 遺産ですが、相続法上は遺産ではありません。

 また、相続財産から発生する相続後の家賃も遺産ではありませ
 ん。家財道具一式などという表現でひとくくりにされる個人の遺品
 は、税法上は、遺産として申告しますが、遺産分割の実務では、形
 見分けの対象で、遺産分割の対象にしません。

 墓や仏壇などは、そもそも遺産ではありません。

 遺産でも、合意がなければ、遺産分割の対象にならないものがあ
 ります。銀行預金や債務などは、相続時に当然に法定相続分に従
 って分割されるので、遺産分割の対象になりません。ただし、実務
 上は、相続人全員が、これらの財産を遺産分割の対象とすること
 に同意がある場合が多く、このような同意がある場合は、遺産分
 割の対象になります。

 なお、現金や郵便局の定額預金は、遺産分割の対象財産です。

 遺産分割を進めるにあたっては、税法上の遺産と民法上の遺産の
 違いを理解し、さらに、当然に遺産分割の対象となるものと、当事
 者の合意があって初めて遺産分割の対象になるものとを分けるこ
 とが必要です。

 ただ、この正確な分類は、普通の弁護士でも誤解していることが少
 なくありません。定額預金と普通預金の違いを認識している弁護士
 は少数です。相続の専門的知識をもった弁護士に相談しましょう。

























        
Q3.遺産分割の分割基準は、法定相続分のみ?
A3.当事者の合意によりますが、合意ができなければ法定相続分によ
   って分けることになります。ただし、被相続人の財産形成に特別な
   寄与があれば、相続分が増額しますし、生前、被相続人から特別
   な受益があれば、その分だけ減額されます。


 遺産分割で一番もめるのは、この部分です。

 まず合意があれば、その合意によります。しかし、合意がなけれ
 ば、法定相続分で分割することになります。

 ただし、この法定相続分は、

 @相続人の一人が財産形成に特別な寄与をした場合には、その
  寄与分だけ、寄与者の相続分は増額し、

 A相続人の一人が、生前被相続人から、特別な受益を受けていた
  場合は、その受益分だけ、受益者の相続分は減額します。

















        
Q4.法定相続分は、どういう場合に増額され、どういう場合に減額され
   の?
A4.被相続人の財産形成に特別な寄与があれば、相続分が増額しま
   す。生前、被相続人から特別な受益があれば、その分だけ減額し
   ます。


 遺産分割で一番もめるのは、この部分です。

 実は、どういう場合に増額され、どういう場合に減額されるかは、
 家裁の実務で、ほぼ内部基準が決まっていますが、書籍には、
 ほとんど記載されていません。

 特別寄与に関して、特に誤解が多いのが、被相続人の事業承継
 者として家事に従事していた場合、あるいは被相続人の介護をし
 ていた場合で、当然に、寄与が認められると誤解しておられる方
 が、少なくありません。

 特別受益に関しては、全ての経済的利得が受益になるのではない
 にもかかわらず、この点を認識しておられない方がほとんどです。

 一般的に言うと、裁判所は、特別寄与に関しては認定がシビアで、
 特別受益に関しては認定が緩やかです。ただ、特別受益に関して
 は、「持ち戻し免除の意思表示」という理論で、全てが否定されてし
 まうこともあります。

 また、特別寄与・特別受益が認められるケースでも、遺産の内容
 によってはこれを覆してしまう裏技的な方法もあります。
























        
Q5.誰が何を取得するかは、家裁は、何を基準に決めているの?
A5.一切の諸事情です。  

 家庭裁判所に遺産分割が持ち込まれた時、裁判所は、何を基準
 に分割するのでしょうか?

 建前では、被相続人の意思や遺産の性質、相続人の属性(年齢・
 職業・生活状況)等、あらゆる多様な事情を総合的に考慮して、各
 人の相続分に従い、分割を命ずるというのが建前になっています。

 しかし、それは建前で、現実には、一つの基準に従って遺産分割
 実務は処理されており、特別の事情がない限り、この基準に従って
 判断します。


















        
Q6.家裁に遺産分割調停を申し立てたいけど、注意すべき点は何で
   すか?
A6.家裁の遺産分割調停は、ただ分ける作業だけをするところだとい
   うことを認識しましょう。


 遺産分割調停では、ともかく申し立てるだけ申し立て、相続
 に関する、ありとあらゆるトラブルを、一挙に解決しようとい
 う方が少なくありません。

 しかし、遺産分割調停は、相続人の範囲に争いがなく、遺言
 による指定もなく、かつ、相続財産の範囲に争いがない場合
 のみ、申し立てることができる調停です。

 @前提問題をまず解決する

  訴訟ではなく「調停」だから、「何でもありだ」といって、相続
  に関わる問題を何でも持ち込む方がいますが、このような
  場合、家庭裁判所は、「家庭裁判所は分割するだけの作
  業しかできません」と言って受け付けません。せっかく申立
  をしても、取り下げられます。

  仮に取り下げを拒否しても、「調停をなさず」「分割禁止」
  の審判が出てアウトです。

 A被相続人名義ではない財産は無理

  裁判所を困惑させる申し立てに、被相続人名義以外の財
  産を、相続財産であると主張するケースがあります。

  仮に被相続人名義であっても、対立する当事者が、相続
  財産ではないと争えば、やはり遺産分割は困難です。

 B税法上の相続財産と民法上の相続財産は異なること
   を踏まえる。


  税法上の相続財産と民法上の相続財産は、その範囲が
  異なります。この点も踏まえる必要があります。

  銀行預金・金銭債務・葬儀費用・賃料などについて注意が
  必要です。

 C特別寄与・特別受益を早期に判断する。

  この点が一番大切です。また、弁護士の主張で一番ミス
  テイクが多いのも、この部分です。

  遺産分割調停を申し立ててみたものの、持ち分がゼロに
  なったという例はレアケースではありません。

  特に、親の事業を手伝ってきた、あるいは、親を介護して
  きたと言って、「特別寄与」を主張されるケースで、逆に法
  定相続分を大幅に減少させられてしまうケースが少なくな
  いのです。

  特別寄与・特別受益に関しては、裁判所の内部基準が確
  立しており、この内部基準に照らして、事前に審判になっ
  た場合の結論を予測し、そこから逆算して行動計画を立て
  ることが必要です。
 
 D遺産分割調停では、ごねは許されない

  遺産分割調停は、6回終了が原則です。かつては、4,5年
  はあたり前、場合によっては10年かかるといわれた遺産
  分割調停ですが、現在は、おおむね1年以内で終了してい
  るケースが多いようです。
 
  家裁の実務に精通していない弁護士に依頼すると、「不動
  産価格や遺産の範囲で争う姿勢を見せると、ことが有利
  に運ぶ」と勘違いしている弁護士が結構いますが、かえっ
  て自分で自分の首を絞めることになります。









Copyright© 森法律事務所 All right.