[慰謝料1000万円以上のケース]


 東京高裁判決平成元年11月22日(判時1330号48頁) 不貞

 慰謝料1500万円

 夫が別の女性と36年間同居し、子供も生まれ、事業家としてもそれなりに成功し
 た幸福な人生を過ごしてきた。これに対し、妻は、実兄の家に一人でひっそりと生
 活してきた。

 夫婦の正反対な人生に裁判官が心を動かされたのであろう。



 東京高裁判決昭和63年6月7日(判時1281号96頁) 不貞

 慰謝料1000万円

 上記と同様の事案。同居期間が38年、別居期間が17年で、夫が別の女性と暮ら
 しているというケースである。上記の判例との金額の差は、物価の上昇、夫婦の
 人生の対比、それに裁判官の主観の違いだろう。 



 横浜地裁判決昭和55年8月1日(判時1001号94頁) 不貞

 慰謝料1000万円

 不貞と暴力という典型的なワンマン亭主。この案件では、財産分与として1億円と
 5000万円相当の不動産の分与が命じられている。にもかかわらず、高額の慰謝
 料を認めたのは、資産家である夫側の一連の言動に、裁判所が不快感を抱く事
 情があったからではないか。 





〔慰謝料100万円〜1000万円未満のケース〕

 ほとんどが、この金額である。取り上げるときりがないので、一部をピックアップし
 た。


 東京高裁判決昭和54年1月29日(判時918号72頁) 悪意の遺棄・嫌がらせ

 慰謝料500万円

 婚姻して間もなく、夫と姑の二人で、妻の不貞を疑い始め、数か月で家から追い
 出し、離婚するため嫌がらせの限りを尽くしたというケース。妻の父母を相手取っ
 て言いがかりとしか見えない訴訟の提起は、裁判所は、内心激怒したことだろう。



 大阪家審昭和50年11月31日(家月28巻3号88頁) 暴力

 慰謝料500万円

 夫が飲む、うつ、買う。あげくは妻への暴力というケース。暴力も悪質で、凶器を
 使用している。

 それにしては低額という気もするが、時価約1000万円の土地・建物の分与を認め
 ていること、夫の現実の収入を考えたのだろう。



 東京高裁判決平成10年2月26日(家月50巻7号84頁) 暴力

 慰謝料400万円

 日常的な暴力あり



 横浜地裁判決平成9年4月14日(判時1744号91頁) 暴力

 慰謝料400万円

 日常的な暴力あり



 大阪高裁判決平成12年3月8日(判時1744号91頁) 暴力

 慰謝料350万円

 典型的なDV案件で、夫が度々、暴力をふるっていたこと、妻が運動障害の後遺
 症が残るほどの暴力をふるった点を考慮し、離婚による慰謝料350万円のほか
 に、傷害慰謝料・後遺傷害慰謝料・逸失利益として合計1714万円の損害賠償金
 を認めた。

 内容からして、離婚に伴う慰謝料が350万円というのは、やや、低すぎるように感
 じられる。傷害慰謝料・後遺傷害慰謝料についても、過失犯である交通事故案
 件と、故意に暴力をふるった本件では、



 浦和地裁判決昭和60年11月29日(判夕615号96頁) 不貞

 慰謝料300万円

 別居が34年、別の女性との同居が23年に及んでいるが、金額が少ない。これは、
 夫が妻に贈与した土地が7800万円に値上がりしており、充分な経済的補償は、
 事実上受けていると考えたからと思われる。



 東京高裁判決昭和55年9月29日(判時981号72頁) 不貞

 慰謝料300万円

 婚姻期間は16年で、その間に、複数の女性と不貞を繰り返したケース。不貞が、
 夫の遊びであること、年齢、収入等を考慮したのだろうが、本件では、財産分与
 は認められておらず、金額には疑問がある。

 裁判所の本音は、事案から推測するに、案外、別のところにある気がする。



 浦和地裁判決昭和59年9月19日(判時1140号117頁)

 慰謝料300万円
 財産分与も640万円認めた例。



 東京高裁判決平成3年7月16日(判時1399号43頁) 不貞

 慰謝料200万円

 妻に不貞があったが、夫にも暴力的なところがあったケースである。それでも、
 これだけの慰謝料を認めたのは、、不貞には弁解は通用しない、という裁判所
 の態度の表れであろう。


〔そのほか、慰謝料が認められたケース〕

 そのほか判例をみると、性交渉拒否、妻の境界性人格障害、夫の浪費等、いろ
 いろあるが、判決文をそのまま額面通りに受け取り、性交渉拒否=賠償と考え
 るべきではない。

 その事案では、事件全体の筋として、何らかの金銭給付を認めるのが筋の事件
 であり、その際の理由として、人格とか、性交渉拒否を持ち出しているにすぎな
 いケースが多い。

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