Q1.監護権・親権のない親は、子供に会えるの?


 A1.面会交流(面接交渉)として、子供に会うことができます。


 実は、この面会交流(面接交渉)は、家族法のどこをひっくり返しても、記載があり
 ません。残念ながら、わが家族法は、離婚して子供を養育しない親が、子供と会う
 ことなど想定していなかったのです。

 しかし、これは、子供の健全な養育という観点からすれば明らかにおかしいし、離
 婚後の共同親権という世界的潮流からも、完全に外れてしまっています。

 そこで、裁判所は、家事審判法の規定の「子に関する処分」という文言を、強引に
 拡大解釈して、面接交渉という概念を認めるに至っています。

 解釈論としては、面接交渉という言葉を使っていましたが、最近は、面会交流とい
 う言葉が使用されています。

 なお、この面会交流は、その約束の仕方によって強制力が生じたり生じなかった
 りするという、やっかいな権利です。

 調停条項の言葉には、気をつける必要があります。





 Q2.面会交流は子供の権利?親の権利?


 A2.子供の権利であって親の権利ではありません。


 家事事件の変化という観点から、この10年間をとらえた時、それは面会交流に関
 する紛争の激増と言えます。この10年間で、面会交流に関する紛争は、4倍に激
 増しているのです。

 男女の平等化、育児の共同分担の思想が進み、父親の育児参加が当然になっ
 た現在、親権を取れなかった父親が、子供との面会交流を強く望むというケース
 は、非常に多いのです。

 そして、こういう社会情勢を背景に、子供との面会交流は、親の権利だとする説
 が、次第に有力になってきています。


 実際、日本を除く欧米先進国では、面会交流を親の権利とする認識は一般的で
 あり、隔週2泊3日は、常識となっています。

 というよりも、「面会」という「断続的な概念」ではなく、子供が双方の親と継続的に
 「交流」する「連続的な概念」として捉えられています。子供を監護している親は、
 子供に関する重大な事項を相手に伝える義務があるとする立法例も先進国では
 常識です。


 しかし、日本の家裁では、子供の権利であり、親の権利ではないと考えられてい
 ます。

 現実のケースに直面した感覚でいえば、欧米に比べて日本の家裁が面会交流に
 消極的なのは、合理性がある場合が少なくありません。

 しかし、もう少し家裁は子供の面会交流に積極的であるべきだと考える場合も、
 少なくありません。

 この問題は、当面、一番の論争となるでしょう。





 Q3.面会交流が認められない場合は、どういう場合?


 A3.面会交流を認めることが、子の福祉に反する場合です。


 「離婚後の子供の共同監護」が理想とされている現在、子供との面会交流は、き
 わめて重要な問題です。ただ、それでも、子供の福祉を考えると、なお、子供と非
 監護者(子供と別居している側の親)の親との面会交流を制限しなければならな
 いケースがあります。

 どういう場合に、子供との面会交流が否定されるのでしょうか。

 一般論でいえば、面会交流は、子供の福祉の観点から認められるものですから、
 面会交流を認めることが子供の福祉に反する場合は、面会交流が否定されま
 す。

 具体例で言うと、

 @非監護者が問題人物の場合(DV案件の場合−子供や配偶者に暴力をふる
   う、非監護者が犯罪者や反社会的人物の場合)

 A非監護者が面会交流のルールを破る場合

 B監護者が再婚したり、子が養子縁組をした場合

 C子供が非監護者と会いたがっていない場合

 です。

 DV案件で、それが典型的なケースの場合、面会交流拒否は問題ないでしょう。

 ときおり、子供には暴力をふるっていない、と反論する方もおられますが、配偶者
 は、その子供の親。自分の親に暴力をふるわれたこと自体が、子供に大変なショ
 ックを与えます。

 ただ、DV案件でも、一律に面会交流拒否という結論を導くべきではありません。

 その前後の事情を考慮する必要があります。暴力は許されないとしても、その前
 提として、配偶者が挑発的な行動に出ているケースはまれではありません。

 というよりも、DV案件では、お互いに手を出し合ったというケースがかなりありま
 す。

 再婚した場合も、諸事情を慎重に考慮する必要があります。面接させるにしてもさ
 せないにしても、家庭裁判所の調査官調査は、必須でしょう。

 そのうえで、再婚家庭の平穏と、共同監護の理想を比較考量して、個々的に決め
 るべきです。

 「子供が親と会いたがっていないので面接させられない」という理論も、中学生以
 上の子供には通用するとしても、小学生以下の場合は、慎重に考えるべきです。

 母親が子供に「別れたお父さんに会いたいの?」と質問をしても、正直に答える子
 供は少数です。むしろ、親の顔色を見て、親がどんな答えを期待しているのか、
 子供は瞬間的に察知するからです。

 この論理は、小学校1、2年生には通用しないと思われ、実務もそのように運営さ
 れています。

 問題は、子供が小学校中学年・高学年の場合ですが、これは、子供の成長程度
 との関係で、子供の真意を慎重に判断することになります。




 Q4.裁判所で約束した面会交流を、相手が拒否している。どうすればい
    い?



 A4.裁判所から履行勧告をしてもらい、無理なら、間接強制の申立をしま
    す。



 離婚する際、親権・監護権をとれなかった他方の親が、その見返りとして、定期的
 に自分の子供と面談できるという面会交流を調停で決めることが多いのですが、
 もし、その面会交流条項に違反したらどうなるでしょう?

 まず、この場合は、家庭裁判所に「相手に子供と会わせるよう言って下さい」とい
 う履行勧告の申立をします。再調停も可能です。

 それでは、裁判所が履行勧告をしても、なお、従わない時はどうすればいいでしょ
 う?

 執行官が乗り込んできて子供を連れだし、強引に面接させるという直接強制はで
 きません。この点については争いがありません。

 それでは、間接強制はどうでしょうか?

 間接強制というのは、もし面接させない時は、裁判所が「1回あたりいくらの金員を
 支払え」と命令し、間接的に面会交流を強制させることです。

 これは、調停条項の文言をどう記載するかによるといわれ、その記載の仕方によ
 って、間接強制ができるというケースとできないケースが生じます。

 ただ、問題は、どういう条項にすると間接強制が認められ、どういう表現にしたら
 間接強制が否定されるかで、これが、どうも裁判官によっても、見解が異なるよう
 です。

 裁判官によっては、この間接強制も否定する見解があります。



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